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#2:アートディレクター/多摩美術大学教授 宮崎光弘×SIS

「もの」から「こと」へ(1)

 

「Living with Design」を標榜し、デザインの役割や可能性を、様々なアウトプットによって啓蒙し続けているAXIS。そんな、日本を代表するデザインカンパニーの中心人物である宮崎光弘さんを、今回はトークセッションのパートナーとしてお招きしました。デザインのプロと、我らコミュニケーションのプロとの「かけ算」から、一体、どんな未来像が飛び出したのでしょうか。

 

 

大切なのは、デザインの「前後」にあるコンテクスト

 

SIS AXISは今年、設立30周年を迎えます。その間、日本における「デザイン」のあり方や捉えられ方は、随分と変化したのではないかと思います。

 

session02-01.png 宮崎 30年前の日本では、デザインといえば、カーデザインやファッションデザインが主流でした。生活の中のデザイン、たとえば「デザインされたマグカップ」は、まだ一般的ではありませんでした。そんな時代に、「デザインで、もっと生活を豊かにしよう」ということを標榜し、立ち上がったのがAXISでした。

 

SIS 今では当たり前のように浸透している感覚を根付かせて行った、先駆者だったというわけですね。それにしてもAXISは、雑誌からプロダクトまで、手がける領域が実に広いという印象があります。

 

宮崎 AXISのデザイン部門は、グラフィック、プロダクト、空間、インタラクション、といった領域のデザインを手がけています。つまり、人が体験することを丸ごと抱えてデザインする、という考え方です。そうしないと、我々が考えている「デザイン」にはならなかった。マグカップを作っておしまいではなく、それを販売する空間やサービス、そしてマグカップの使われ方までを含めて、デザインしたかった。今では当たり前のことで、どこでも言われていることですが。

 

SIS デザインというと、インダストリアル、テキスタイル、グラフィック......といった風に、くっきりと分かれている印象がありますが、「生活」というキーワードを中心に置くことによって、必然的に、ジャンルを横断することになったわけですね。ところでこの30年を振り返ると、テクノロジーの進化がめざましかったと思いますが、デザインとテクノロジーの関係性については、どうお考えでしょうか。

 

宮崎 色々なデバイスだったりテクノロジーだったりが、想像もつかないくらい進化をしましたね。それによって、デザイン/デザイナーが関わる領域や表現方法は、確実に広がっていきました。その一方で、情報の絶対量が圧倒的に増えたことにより、以前に比べてより一層「伝え方」というものが大事になってきたという印象があります。デザインの前後に、しっかりとコンテクストを創り上げないと、伝わらなくなってしまうというか。そのトータルのクリエーティビティが、より大切になったと思います。その点で言うとPaPaCo Design Projectは、コンテクストまでがきっちりと考え抜かれていて、クリエーティビティの質が非常に高いと思いました。iPhone用のアプリも、お父さんと子どもで遊んでおしまい、ということではないですから。

 

SIS PaPaCo Design Projectにおけるプロダクトづくりでは、まさにその点を最重要視しています。つまり、お父さんと子どもがふれあう時間やおしゃべりの内容を、プロダクトによってどれだけ楽しく豊かにできるか、という点です。具体的には公園、空、生きもの......そんな外に広がる世界に対して、どれだけ想像力や好奇心を膨らませられるか、というアプローチでした。

 

宮崎 PaPaCo のiPhoneアプリのひとつ「アースガラガラ」には、特に惹かれました。端末を振ると色々な自然界の音が鳴るというアプリだけど、お父さんや子どもがその音を楽しむというレベルを超えて、それを「使って」新しい遊びをつくれるような、すばらしい「道具」のレベルにまで到達している。単に楽しんだり、考えさせるデザインから、「行動させる」デザインにまで達していると思います。

 

SIS 昨年、SISのイベントで「アースガラガラ」を使った「音つきの絵本作り」の親子ワークショップを開催したのですが、参加してくれた親子それぞれの作品が、個性的で面白かっただけではなく、それぞれの親子のやりとりがとても面白かった。お父さんたちも、普段とちょっと違う時間を体験してもらえたようでしたね。こちらとしては、手応えを感じられた瞬間でした。

 

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<プロフィール>
宮崎光弘/MIYAZAKI MITSUHIRO
アートディレクター/多摩美術大学情報デザイン学科教授
1957年東京都生まれ。ファッション誌のアートディレクターを経て、1986年株式会社アクシスに入社。同社のCIやデザイン誌『AXIS』のアートディレクションを務める傍ら、展覧会企画、エクスクルーシヴフォントの開発などに携わる。現在、AXISのデザイン部門であるAXIS designを統括。1992年より多摩美術大学の教壇に立ち、2007年、情報デザイン学科教授に就任。

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